演劇集団円
プロフィール

 1975年、現代演劇協会付属劇団「雲」から芥川比呂志を中心に独立。現在に至る。
第一の特色は俳優陣の充実です。男優陣には仲谷 昇,三谷 昇といったヴェテランをはじめ,橋爪 功,勝部演之,岡本富士太,西田 健,大谷 朗,立川三貴,金田明夫など。女優陣では南 美江を筆頭に,岸田今日子,高林由紀子,松本留美,若手では唐沢 潤,平栗あつみ,谷川清美,高橋理恵子など多士済々です。
 第二の特色は公演レパートリーの幅広さと多様性です。この25年の活動を通してレパートリーに幾つかの柱が出来上がってきました。一つ目の柱は1976年の「壊れた風景」以来「雰囲気のある死体」「うしろの正面だあれ」「わが師・わが街」「猫町」などの別役 実 書下ろし作品の連続上演です。二つ目の柱は1981年に岸田今日子の企画により「おばけリンゴ」で始まった谷川俊太郎,別役 実,佐野洋子らによる書下ろしの「円・こどもステージ」です。これは児童劇の分野に新生面を開いたものとして各種の賞を数多く受賞しています。三つ目の柱は「悲劇ブリタニキュス」から「悲劇フェードル」にいたる,渡辺守章訳・演出のラシーヌ連続公演で,特に「フェードル」は,パリをはじめヨーロッパ各地で公演を行い,芸術祭賞を受賞しました。そして四つ目の柱として,安西徹雄,テレンス・ナップによるシェイクスピアおよびエリザベス朝劇の連続公演をあげることができます。この他円の上演作品は,日本の作品では,狂言や鶴屋南北から太田省吾,渡辺えり子,岩松了,平石耕一,平田オリザといった現代を代表する劇作家,さらには集団所属の森泉博行,佐久間 崇,宋 英徳らの新作に,翻訳劇では先にも述べたシェイクスピアやラシーヌからロルカ,ジャリ,アヌイやグランベールなどの現代作家にいたるまで,多種多彩にわたっています。
 この多様性は見方を変えれば,一貫した方向性のなさ,単なる雑多な作品の集積と見えるかも知れません。しかし実はここにこそ円の第三の,そして最大の特色があると考えられています。
円が目指しているのは,古典的な「新劇」の枠を抜け出し,しかも単に流行に追随するのではなく,東西を問わず最大級の古典から今日の最新の作品までを広く視野に収めて,そこに通底するはずの,本当に劇的なものを問い続けるということです。演劇集団円は,あくまでも自由に,柔軟に,新しい時代の演劇の在りようを追求しようとしています。

最近の受賞
立石凉子・紀伊國屋演劇賞 個人賞 受賞
「ビューティークイーン・オブ・リーナン」(演劇集団円公演)
「エレファントバニッシュ」(世田谷パブリックシアター/コンプリシテ公演)
 の演技に対して、紀伊國屋演劇賞 個人賞を受賞しました。
平成16年度 湯浅芳子賞戯曲上演部門 受賞
2004年上演の「Lifeラ3」(ヤスミナ・レザ 作/大間知靖子 訳・演出)
「ビューティークイーン・オブ・リーナン」
(マーティン・マクダナー 作 芦沢みどり 訳 岸田良二演出)

横濱世界演劇祭2006への参加作品
円・こどもステージ『どうぞのいす』
作・香山美子 絵・柿本幸造(ひさかたチャイルド刊)
構成演出・小森美巳 音楽・小森昭宏

横濱世界演劇祭2006招聘について
 横濱世界演劇祭が幅広い市民を観客として結集できる企画にすることを課題にしていることから、就園前のこどもに演劇を見せることを大きな今回の目的とする。
 幼児にとって「はじめて出会う本」があるように、観劇にも「劇場」デビュー以前にであってもらうに相応しいものがあると考えています。親子で安心して心ゆくまで楽しめる時間を過ごす中で共通の感情体験を持ち、お互いの心を通い合わせて信頼を深めていくことができるようにつくられています。